1. HOME
  2. > メディア
  3. > 船井総合研究所の市況レポート

新着情報

2020年06月04日メディア

船井総合研究所の市況レポート

船井総合研究所ものづくりGでは、当グループが主催している経営勉強会 ファクトリービジネス研究会 会員企業様150社に緊急アンケート調査を実施いたしました。
その概況を下記の通りお伝えいたします。
5月以降、特に落ち込みが激しいのは自動車業界と工作機械業界。自動車業界の量産部品については5月以降の前年対比は△30~60%ほどのマイナス。
工作機械も悪い。自動車業界と同じ水準でマイナスになっている。工作機械メーカーの中にはリーマン・ショックの際の1.5倍程度の水準の不良在庫を抱えているケースもあり、週休4日といったケースも散見される。一部の産業機械も自動車並みに悪い。特にエンジン等の原動機系が悪い。やはり週休4日のケースが散見される。
影響を受けていないのが5G関連に代表される半導体関連。逆に前年対比でプラスのケースも散見される。具体的に、東京エレクトロン関連等は好調である。
自動車関係であってもトヨタ系列は開発が止まっていない。特にCASEがらみは動いている。例えばリチウムイオン電池製造装置メーカー等は現在でも2年間の受注残を抱えている。
トヨタ系列以外の完成車メーカーは開発の多くがストップしており、サプライヤーにも大きな影響がでている。
食品関係は好調。いわゆるステイホームの影響で、調味料やパック総菜など自宅消費用の物品が伸びている。業務用は悪い。
医薬品も好調。特に消毒液関連は特需。
化粧品は悪い。マスク着用や外出自粛の影響が大きくでており需要が縮小している。
全般的に省人化・無人化投資は需要が落ちていない傾向にある。厳しい自動車業界においても計画されている省人化投資については予定通り実施される傾向にある。
物流センターも海外から荷物が入ってこない関係で、取扱いが1/2程度に減少しているケースもある。ただし従業員の解雇は行われていない。理由は、今、従業員を解雇したら荷物が戻ってきた時に採用が困難であることがわかっているため。こうした経営的な見方もあり、逆に省力化投資は衰えていない。
現状を総括すると、
そもそも自動車のうち内燃機関が衰退することはわかっていた。現在もCASEがらみは落ち込みがそれほどない。
トヨタとトヨタ以外の完成車メーカーも実力に雲泥の差がある。トヨタ以外は軽自動車以外のヒット商品を生み出せていない。
工作機械も度重なる補助金バブルでそもそも過剰気味であった。またユーザーの大半が
自動車がらみである。
5Gの特需は予想された未来であり、コロナ下でもそれは変わらない
人手不足以前に、人を使うことへのコストの増大から、省力化・無人化投資が衰えないことも予測通りである
食品、医薬品はそもそも景気変動の波を受けにくい業種である
この様に、実はコロナ以前から潜在的な課題になっていたことがコロナで大きく顕在化した、と考えることができる。
さらにコロナにより大きく変化すると想定されるのは次の通りです。
1)当面は7割経済が続く。トヨタは現在の危機が3年続くと見ており、4月には1兆円もの資金調達を行った。利益率アップに代表される不況対策が求められる。売上が3割減少しても利益を出せる体質づくりが必要である。
2)働き方改革がより一層進む。具体的にリモートワークの恒常化、無駄な出張の消滅。言い換えればリモート会議・リモート商談など、デジタル対応が弱いサプライヤーは総じて苦戦することが予想される。
3)省人化、無人化投資、また省人化や無人化につながるDX(デジタルトランスフォーメーション)投資がさらに加速する。DXの分野は技術革新の余地が高く、あらゆるサプライヤーが参入の余地がある。
4)例えば自動車業界であればトヨタあるいはトヨタのティア1といった「勝ち組」企業との取引が求められる。あるいは5G関連、省力化関連他の各業界における「勝ち組」企業と取引しなければならない。

ご相談・ご質問等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。